2023年4月10日

今日から中学。はじめて自転車で登校。
荷台にかばんをくくりつけて、約束の時間に友だちの家に行く。あとを追って見に行くと、友だちの家に到着して笑顔のはるは、学校指定のじゃないミント色の運動靴を履いてて、わたしはあわてて代わりに取りに戻る。
その場で履き替えて、出発。わたしはそのまま郵便局の前までうしろをついて行って、別の友だち2人もちょうど来て、4人で出発するのを見届けた。
みんなはるよりずっと背が高くて自転車も平気そう。ついて行けるのか、考えたってしかたないから、考えないようにする。まだ坂を上りきらないところで見るのをやめて帰った。怖かった。

家の中は1日しーんとしていて不思議だった。仕事に行って帰ってきてもはるがいない。自由な時間で、ありがたいけど、それどころじゃなく怖かった。

4時ごろだったか、元気に帰ってきた。信じられないような気持ちだった。
でも、これまでの6年間、最初だけはりきって元気で、今年こそ全部行く!と言ってはすぐ疲れて嫌になるを繰り返してきたから、一喜一憂するまいと、「楽しいこといっぱいあったよ!」の笑顔にも、よかったねえとだけ答えたりした。
「はりきって全部行こうとして完全にもう2度と行きたくない」になってほしくなくて、休みながら、だらだらーっと、そこも日常、って、家にいるみたいにリラックスして過ごせたらいいなあと思う。

でも、全部体験だから、わたしはひたすら、いちいち考えないようにして、一喜一憂しない、ことしかない。
自分に言い聞かせる。


寝る前、
はるが久しぶりに『春ちゃん元気です』を手にとって開いて、読んだ後少し泣いた。
『春ちゃん元気です』は、初発の退院の時に、隣のベッドの男の子のお母さんがくれた、実話をもとにして、娘の闘病記をお父さんが描いた絵本。
「春ちゃん」は、ほんとはゆうちゃんらしいけど、作中ではると同じ名前で、しかも同じ「4歳になってまもなく」同じ病気を発症して克服した女の子の話。
内容が嫌かもしれないけど、と手渡された。その言葉が少し気になりながら、はるといっしょに読んだら、がんばって退院できたけどすぐ再発してしまい難治性でほかに方法がなくお父さんから移植した、という話で、わたしはとても嫌だった・・・その時は、考えまいと思った。退院してやっとほっとした時で、こんな話読まなければよかったとまで思ったけど、春ちゃんには兄弟がいたし、全部がいっしょじゃないし、気にするな、と自分に言い聞かせた。
はるはただ、ただ最後のページが中学生の姿であることが印象に残ってたらしくて、「退院したらすぐ、こんなお姉ちゃんになるんだと思ってた」と言った。(実際には、退院したら小学1年生で、まだまだ小さくて、髪は短くて制服も着てなかった。)

今日は初めて、わたしは自分の気持ちをはるに少し伝えた。
「ママはこの本、苦手だったよ。入院、つらかったこと思い出すけえ。くれんかったらよかったのに、と思ったこともあるよ」

はるは1人で読み終えて、じっと考えていて、なんにも言わなかった。
それから、顔を見ると泣いていた。
どうして泣いていたのかわからない。
何を思っていたのか
わたしも泣いた
病気のことで見つめ合って泣いたのははじめて
それからはるは、怒りとかじゃなくて、慈愛に近いような目で、じっとこっちを見た。

はるはこれまで、いつもケロッとしていた。病気のことにも、生き死にのことにも、ケロッとしていて、わたしはその達観した考えに教え諭されて救われてきた。
はるがはじめて病気のことを憂いたように見えて、それがとても悲しかった。

当たり前なのにな
みんなそうして生きているのに


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