はるはケロッとして起きて学校の準備もできた。でも出かける寸前に自転車の鍵がないと言うからわたしは、昨日どこ置いた?!と怒って、結局鍵は自転車についたままで、あった!と、はるは笑顔で、よかった!と予定どおりの時間に出発した。
昨日は眺める余裕もなく見送ったけど、今日は家を出て角を曲がって行く姿を後ろから見た。
小さくて小さくて、あまりに小さくて、本人は普通のつもりかもしれない、ヨタヨタと、やっと足が地面に届くような、身体に対してまだ少し大きい自転車、慣れない自転車で、ゆっくりゆっくり角を曲がって行く、ゆっくりゆっくり角を曲がる姿が、あまりに小さくて、怖くて、その後も何度も目の奥に浮かんで必死で打ち消した。目に焼き付いてしまった。
そのたびに恐怖で涙が出るようで、心配なんか邪魔なだけだ、思い出すな、考えるな、と振り払った。心配するようなことじゃない、元気で行き来して帰ってくるのを信じろ。
それから洗濯をして、なんとなく草むしりを始めると、1時間半経っていた。
初夏のように晴れてきて汗をかいた。
土をならしたり、植木鉢の位置を変えたりして、ほんのちょっとでも綺麗にできたら、生きた心地がする。
その後、おそるおそる『春ちゃん元気です』を検索してみた。
あの絵本の「春ちゃん」は今元気か、ほんとうに元気か、気になってしまう。恐怖をともなって。
久しぶりで見てみたら、お父さんの投稿で、「この春、大学を卒業して社会人になりました。小学校と中学校では友だちとあまり話せなかった春ちゃんですが、高校でたくさんの友達ができて・・」などが書いてあった。
うれしくて、うれしくて、恐怖がいっぱい飛んだ。
それから仕事に行った。
仕事に行って帰って来ても、家の中にはるがいないことがびっくりだった。
先週まで、1日中ここに座って絵を描いたりゲームしたりしてたのに。
仕事に行く前もいない、帰ってからもいない。
すごく不思議だった。
学校に送って行かなくていい。
迎えに行かなくていい。
はるがいなくて、しーんとしていて、変な感じだった。
不安な感じ。罪悪感のような、
今ごろ苦しんでないか、耐え難い我慢なんかしてないか、とかもどうしても思ってしまう。
してたとしても、それははるの体験なのに。
わたしはわたしでこれを克服していかないと。
手を離してまかせよう。
何度か角まで見に行ったり、耐えきれずしゃがんで草を見た。
小さい小さい、もしかしたら忘れな草が咲いていた。とても小さい花。それをじっと見ていた。
はるは、初めての美術部体験が楽しかった、と帰ってきた。
給食も美味しいって。
とてもありがたいけど、帰ってきた時に機嫌がいいのは、「帰ってこれた」からニコニコという不登校あるあるでもあると思うから、感謝だけして、あとなにも考えないようにする。
でもとてもうれしかった。
2023年4月11日
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