晴れ。真っ白。
カンナは今日まだ咲いていた。
美しい姿。
朝、ハクセキレイに歌いかけてみた。
そんなことはしたことがなかった。
「どうか あの子を
あたためて」
のところを、うたった。
鳥は無関心。
なんだかうれしかった。
ただ息を吐くみたいに声が出る気がした。
強い日が照って、
春みたいにあたたかい日。
1年前に、地獄のようなライブをした。それ以来ぽっかりと、力が出なくなった。
自分を思い知って、絶望が増していくような日々だった。
だけど、この1年があって、
ライブから離れた1年があってよかったなあ。
昨日の朝、自分の2年前のライブ録音を少しだけ聴いた。
どこが嫌か、即座にわかった。
長いこと、
自分で良いと思わなくても
「よかった」と言ってもらったら
今日の演奏はよいものだったんだと
思うようになっていたみたい。
それはただ、その人の、その瞬間の気持ちなのに。
ライブ演奏をする機会が途絶えて、
気力も出ず、もううたえないのかもしれないと思う日々を過ぎたら、
そういう
価値が、全然変わった
昨日気付いた。
この8か月くらいの間で、わたしは
初めて音楽を聴くようになった
気がする。
今まで知らなかった音楽をたくさん聴いた。
蜘蛛の巣に雨粒が、空を背に
きらきらしているような音をたくさん聴いた。
言葉で表せない。
毎日見ている、鳥のダンスや
水面の色、光、山の色、
それと同じようなものが、音になっていて、ギターやピアノの音で聞こえてくる。
そんな音楽を今まであまり
知らなかった気がする。
とても、とても、しあわせを感じる。
わたしも、
蜘蛛の巣を作るみたいにうたいたい。
雨粒や、雲が動くのを辿るみたいに
花がひらくのや、日がかげるのを
人間の音に置き換えるみたいに、
慎重に、手を伸ばして、たどって、
ふれて、音を出したい。
2020年11月17日
Powered by Blogger.