2023年2月1日

「戦争って、終わったら、よかった〜ってなりそうじゃん。ほかの国から見たら。でも、終わってからの方が地獄ということもあるんだって。
戦争が終わってすぐの頃、東京もめちゃくちゃだったんて。お父さんもお母さんも死んで地下道とかに子供だけ集まって住んで、泥棒してでも生きたり、学校なんかそれどころじゃなくて、スリの先生に読み書きを教わったり、トイレもそのへんでして、そのまま寝たりして、ぐちゃぐちゃだったんて。
人間も、強いんかなあ。強いよねえ。
そんな人たちが社長になっとったり、するんかなあ。したんじゃろうねえ。」
と、一方的に話していると、はるが
「言ったでしょ、はるは悲しい話が苦手なんよ」
と言って泣いた。
漫画でも映画でも悲しい話が大嫌いで、はるは見ない。
その部分だけ飛ばしたりする。

わたしは、謝ったけど、やめもせず、
「はーばあばも、子供の頃、島の工場で働いとって、子供だけ集められて、島で、そしたら向かいの呉が爆撃されて燃えて、みんな泣いとったら先生が、『泣くな!はよ歩け!』いうて怒鳴って、そん時はさすがに子供もブチギレて、『先生は呉に家族がおらんけえ言えるんじゃ!!!』いうて叫んだんて。そりゃ子供もキレるよね。」と話した。
はるはさらにこたつに潜って嫌がった。

「はーばあば、その時、妹死んどったんて。
その時だけ、泣いたって言っとった。」

「でも、はーばあば、別に普通にテレビ見てカラオケ行ったりしとったんよね。
戦争はいけん、とか言わんかったんよね。戦争の話も全然せんかった。なんでだったんじゃろ。生き抜いた人には、どうでもええわ、もうあとは楽しいのだけがええわってなるんかなあ・・」


「まあ、ママは、早く滅びたらいいのになって思う派じゃもんね。
ママは人間が嫌いなんかな。
やべえ奴じゃん。
ちがうよね。ほんとは好きなんよね。しあわせになってほしいけえ、腹が立つんよね。」

ほんとは好きなんよね、と言った時だけ
潜ったコタツの中ではるは頷いた。

「しあわせになってほしいんよ。じゃないと嫌なんよ。
1人も残らず全員よ。」

ぼーっと、やつあたりみたいにひとりごとを言い続けた。

何でかわからんけど嫌なんよ。全然わからん。ただ嫌なんよ。生理的に。
はらわたが煮えくりかえる。

Powered by Blogger.