2021年6月23日

青木さんのギターを聴きに尾道へ行った。
たぶん、ただ体調のせいだけど、
今日も仕事から帰るとどれもこれもが悲しくて、泣いた。

「どうすればやすらげるんだろう。ないものねだり。贅沢だとわかっています。ここは外の世界だ。外の世界にいることができている。」
と、メモをそこまで書いたところへはるが来て、慰めてくれた。
「こわかったね、つらかったね、」と
はるは言った気がする。
背中を撫でて、どん、どん、と叩いてくれた。

録音データ、完成させたいのに出来ない。パソコンつけたままうたた寝した。
起きてパソコンを見ると、ツイッターで青木さんが「5時から紙片でギターを弾きます」と書かれていて、目を疑って、行くしかないと思った。
次の瞬間、でも無理だ、5時というと学校から先生から電話がかかってくる、とか、今からじゃ間に合わない、とか、どうせ、だめだ、と、行けない理由が次々浮かんだ。
でも学校にはこっちから電話すればいいだけだから、とにかくまず電話をかけた。それさえ軽快にはできないくらい心身が重かった。
じゃあ行けるとして駐車場は?どこに停めればいいのとパソコンで地図をひらいてパーキングを検索して、そんなことしてる時間ない、と気付いた。
はるは「大丈夫!行っておいで。たのしんで!」と言ってくれた。
母に1時間ほど留守にするのをお願いしてすぐ出発した。オロオロ、半泣きだったけど、夜になって「やっぱり行けなかった」「どうしてわたしだけどこにも行けない」と思うのは嫌だった。そんなわけはなくて、それはまちがっているから、もう嫌だった。

出発して、橋を渡る。
わたしが今、ほっとするためには、楽器の音を聴くこと、しかなかった。
情けないことだけど、ほかに方法がない気がした。

三中の前あたりから、前方をとてもノロノロ運転の人が走っていて、自分こそノロノロのくせに、それにしても遅い、と思った。「こういうのは、自分もこうだから腹が立つんだな。」と思った。必要以上に慎重で、だから曲がるのも進むのもとても遅い。安全運転というレベルじゃなく遅い。自分に似ているものには腹が立つ。

でも。少し走っていると、「この人、たぶん、神様だな」と思った。神様が焦るなと言ってる。間に合うかどうか、駐車できるかどうかって焦っているから。

でも。また少し行くと、「神様」は左折して行った。思わず「やった!」と口に出した。自分のペースで走れる。と一瞬喜んでから、いや、神様に去られたのに、やった!じゃないぞ。気を引き締めんと危ない、と思った。

糸崎あたりで、「そうだ、あいこさん、来ていないかな。」と思った。来ている気がした。そうしたらうれしくなって笑いが出た。
海沿いのあたりはみんな60km以上で走る。
神様、あの運転でどこへ行っただろう。ちゃんと運転できてるかな・・と思ったりした。

尾道に着いて、駐車場に停めることができて、走って「紙片」へ向かう時、時刻を見ると4:59だった。
あなごのねどこに着いて、廊下を走っている時、5時らしきチャイムが鳴った。
なんだかとてもうれしかった。
間に合った、と思った。



着いたら、あいこさんがいた。びっくりして、膝から落ちた。
いるんじゃないかと思っていたくせに。
何年ぶりだろう。会えた。
湿った夏の夕方。
青木さんが奥でギターを弾いていた。
うれしくてうれしくて
涙がどばっと出たりした。

手元を見たかったのに、つい目を閉じた。
馬が走ったり、風が吹く、人がいる、アダンの木だ、
海が、
誰かの足元の波が光る。
それをもっと見たくて目を閉じた。

時々目を開けると、6弦だけはずしてカポが付いていたりしてギョッとした。
チューニングは、1曲ごと変えているようだった。
だから左手は、指1本だったりした。

青木さんの音楽は、
虫の声みたいに、あとに言葉が残らない


夕暮れ、海の上に、岩戸が開く時みたいな
(マチャアキが生まれて来る時みたいな)
びかーっと光る雲があった。
6時に紙片を飛び出して、6時半には家に帰り着いた。


チューニング。
皿を洗って、洗濯物を取りに行って、ふと
真似してみたよ。
青木さんは、「オリジナルというわけではなくて、誰かがやってるチューニングだけど、自分にとって気持ちのいい音にしている」と言われた。
自分にとって気持ちのいい音。
全部開放で鳴らしても、うれしくなる和音。
自分にとって気持ちのいい音・・・・と、探して、やってみた。
そしたら3弦はF#で、2弦はAだったりした。
ちょっと三線みたいだ、と思った。
それだけで、指4本で必死にやらなくてもたくさん弾けた。

いつのまにか部屋がとても暗くなっていた。はるが、「じゃましないからね。」と言いながらスイッチ持ってやってきて、「はーちゃん、いつか、ママの曲に合わせて絵を描きたい。絵っていうか、うたに合わせて動く・・」と言った。MV。いいなあ。気持ちだけでうれしい。

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