青木隼人さんの個展を見に行った。
急に行けることになって、車で、
びゅんと、2時間家を留守にして、行った。
行く道々、録音のことを考えた。
直前まで編集やってた。
今日も。
昨日、16歳の頃の宅録を聞いて、
誰にも聴かせないうたを、なんであんなに
毎日毎日、アルバイトに行く時間以外ずっと、
作っては録音していたんだろう
と思った。
分身の術で、ベースの人、リードギター、
ドラム、ボーカル、みんなで
お互いをひきたてあうような音を、
お互いをなくてはならないものにする音を目指して、録音してた。
人に聞かせて否定されたら生きていけないと思ってほとんど誰にも聞かせなかった。
音を重ねることが好きで、ただそれだけでやっていた気がする。
今も変わっていないのかも。
海沿い、大声でうたいながら、
何に対してということもないけど、
「誰かにとって重要である必要はない。
これはわたしにとって大切なこと。
大切な作業。」
と、ひとりごと言いながら尾道に向かった。
「紙片」、行けてよかった。
久しぶりで紙片に行って、
久しぶりで読んだことのない本に囲まれて、
本を見上げて、
とても心が潤って、落ち着いた。
白水さんが「杏仁豆腐」を持って、来てくれた。
なんでもない話をして笑って、
白い紫陽花が咲いていて、小さいカナブンがいた。
青木さんの絵は、見た瞬間、「父の昔の写真や絵」を見る時のような気持ちになった。
出雲に行く途中の川や山にも似ていた。
小さい小さい絵。
白水さんから、「小さいよ」と聞いていたけど、こんなに小さいとは思わなかった。
川、池、対岸の山や、足元の花。
小さくて、小さくて、それで、
細部はそこにはえがかれていないのに、
橋の欄干の模様が急に目に飛び込んでくるように思えたり、
こんな花が咲いていたんだなあ、と、
写真以上にわかる気がした。
ずっとほしかったCDを買った。
「小さな歌」というCD。
冬に買いに来た時、売り切れていた
青木さんのCD。
帰り道、
駐車場まで歩きながら、白水さんと
おじぎそうや、飛行機雲や、謎のガラス細工の置物について話した。
それから車に乗って、
帰りは行きよりもっとうれしい気持ちで、
びゅんびゅんと帰った。
家に帰って、
日が暮れる頃、白水さんから
「今、空がファルコンだよ」とメールが来て、
急いで外に出た。
家の屋根にはばまれて全容は見えなかったけど、
タチウオみたいなリュウグウノツカイみたいな長いのがいた。
それから、空が金色だった。
白水さんから来た「こんなだったよ」という
尾道の空の写真はものすごくて、
ファルコンでもリュウグウノツカイでもなく、
もはや列車だった。